すべての荷物を運び終えるころには、3人ともくたびれ果てていた。
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引越し後
すべての荷物を運び終えるころには、3人ともくたびれ果てていた。ボロワゴンで旧居と新居を3往復…、やはり4トントラックが正解だったか。屍のように横たわる二等兵、三等兵には、上官として酒でも飲ませてやらなければなるまい。俺たちは新居近くの居酒屋で、ささやかな打ち上げをした。さすがラガーマンと自衛官、食うわ飲むわで虎の子の一万円札がきゃつらの胃袋に。俺、枝豆しか食ってない。2人と別れて、重い足取りで新居に向かう。いつの間にか、日はとっぷりと暮れていた。真っ暗な新居、手探りで電灯のスイッチをオン…するも、お部屋は漆黒の闇のまま。照明器具は旧居に忘れやすいので、皆さん気をつけてくださいね。
翌日、旧居を正式に明け渡すために、大家のもとに向かった。財布の中身はすっかすか。敷金をいくら取り戻せるかが、今後の新居ライフを左右するといっても過言ではないだろう。壁はヤニで味わい深い黄褐色に、フスマは風通しのよいシースルータイプに自力リフォーム済み。さて、いくら敷金が帰ってくるのやら…。
半分腐った畳の上に仁王立ちしながら、大家は眉ひとつ動かさずに言った。「あんた、追加で現状復帰費用をもらうよ」と。
旧居からの帰り道、愛しのミーちゃんをペットショップに迎えにいく。俺の姿を見つけるなり、ミーちゃんがニャーと鳴いた。今までの苦労が、報われる瞬間。片手にミーちゃんが入ったゲージ、片手に旧居から取り外した照明器具を持って家路を急ぐ。道ゆく人の視線が、ちょっと痛い。新居に帰りゲージを開け放つと、周囲に転がっているゴミ袋の山に驚いたのか、タンスの裏にミーちゃんまっしぐら。その夜は、台所に布団を敷いて寝た。
翌日、なんとか敷金を取り戻す方法はないか、不動産会社に勤める友人に相談した。が、著しいタバコのヤニや、フスマの破れは「自然の消耗」とは認められず、借り手に現状復帰の義務があるという。がっくりと肩を落としていると、いいことを教えてくれた。火災保険を定期契約で締結していると、途中解約金が戻ってくることがあるらしい。試しに保険会社に連絡すると、思いがけず1万円ほど解約金が手に入ることになった。これでミーちゃんに、ベッドでも買ってあげることにしよう。
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